公開日 2014年2月14日
更新日 2024年11月28日
十三崖のチョウゲンボウ繁殖地
指定 | 国天然記念物/1953年11月14日 |
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所在地 | 中野市大字深沢、竹原 |
管理者 | 中野市ほか |
チョウゲンボウはハヤブサの仲間の鳥で、俗にハイタカ・ヘエタカ・マグソタカなどと呼ばれており、ハトくらいの大きさで、つばさを全開すると70センチメートル~80センチメートルくらいあり、背中は茶色です。日本では北海道、本州に繁殖しています。十三崖の集団繁殖地は1953年に国の天然記念物に指定されました。
長野県鳥候補にあげられた鳥で、主に平野部の村落、農耕地、河原、原野、都市部などでハタネズミや小鳥を探します。また未消化物をペリット(吐出物)として出します。巣は崖や建造物の横穴などにあり、崖や建造物が大きいと集団繁殖になる場合もあります。そのときは順位に従ったなわ張りを持ちます。
十三崖のチョウゲンボウは、3月下旬から交尾し産卵します。産卵数は最大8卵であり、産卵期間は3月下旬から4月下旬までです。抱卵期は約1ヵ月であり、4月下旬から5月下旬にかけて、ヒナは巣穴の中で卵からかえります。これらのヒナの巣立つまでの期間は約4週間で、5月下旬から遅いものでも6月下旬には巣立ちます。
巣立った鳥は、その後巣穴付近の崖や木立で過ごし、初夏には移動してしまいます。
餌は、1976年6月20日採集の崖下のペリットの分析によれば、キセキレイ・コガネムシ・ハタネズミ・アズマモグラでした。そしてどの場合もハタネズミが例外なく含まれていました。この点からみてもチョウゲンボウは、農作物にとって有益な鳥類であることがわかりました。
十三崖が国の天然記念物に指定されたのは、チョウゲンボウが集団で営巣しているのは非常にめずらしいという理由からです。
柳沢の工ドヒガン
指定 | 市天然記念物/1984年5月29日 |
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所在地 | 中野市大字柳沢 |
所有者 | 柳沢区 |
エドヒガンは東アジア特産のバラ科サクラ属の樹木で、別にアズマヒガン(東彼岸)・ウバヒガン(姥彼岸)ともいわれています。
中野市内のサクラ属の中では最も齢数の多い個体だと考えられます。柳沢集落の上部、滝の沢の入口にあって1984年測定時には、幹囲4.14メートル、高さ約18メートル、2014年測定時には幹囲4.83メートル、高さ22.8メートルの巨木です。
如法寺のイチョウ
指定 | 市天然記念物/1985年4月26日 |
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所在地 | 中野市大字中野 |
所有者 | 如法寺 |
イチョウの名は、中国名鴨脚(ヤーチャオ)からの変化といわれます。葉の形が水かきのある鴨の脚に似ているからです。
この木のなかまは、地質時代の中生代ジュラ紀(約1億5千万年前)の化石から多くの種類がユーラシア大陸とアメリカ大陸から発見されていますが、現在は中国と日本でみられる1科1属1種だけです。
日本では万葉集にもその他の平安時代の記録にもないことから、鎌倉時代か室町時代に中国から渡来したものと考えられています。
この木は雌雄異株で、巨木となり、しばしば枝の下部等に乳のようにたれ下がったこぶが出来ることから、乳の神として広く信仰されます。
妙法寺のイチョウは雄株で1985年の胸高幹囲は6.13メートル、高さ約25メートルでした。2014年の胸高幹囲は6.16メートル、樹高は一部の幹が折れたため、約16.5メートルでした。
中野市内のイチョウでは最大の巨木であり、かつて樹下に乳の神として鳥居も建てられていましたが、現在は観音像がまつられています。
小内八幡神社社叢
指定 | 市天然記念物/1993年4月30日 |
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所在地 | 中野市大字安源寺 |
所有者 | 小内八幡神社 |
小内八幡神社には県道三水中野線をはさんで西に幅約15メートル、長さ210メートルの参道があり、東に間口約65メートル、奥行約90メートルの小内八幡神社地があり、その中に随神門と前庭を隔てて本社殿があります。
市の天然記念物となっているのは、この参道並びに本社社地内の樹叢です。参道の北側は、西から周2.75メートルのエノキと15本のケヤキを主とし、外にアカマツ1本、ソメイヨシ3本、サワラ5本を含む並木があり、南側はケヤキ16本、サワラ5本があります。この北側・南側とも全体として、ケヤキを主とする並木です。
この場所は江戸時代から県下でも有名な馬市の開催地であったといいますが、ケヤキの大きなものは、その馬市開催以前からあったものと思われます。ケヤキの並木がこのように揃っている所は、県下でもまれです。
本殿周囲には、幹囲4.29メートルのイチョウ1本を含みますが、他の多くはスギであり、スギの大きなものは幹囲3メートル、高さは約30メートルです。
高井大富神社のエノキ
指定 | 市天然記念物/2002年3月1日 |
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所在地 | 大字大俣 高井大富神社 |
所有者 | 大俣区 |
エノキは、ニレ科エノキ属の落葉大高木で、本州・四国・九州に分布し、この地方にもエゾエノキ(北海道にも分布)とともに多く自生しています。エゾエノキは北海道にも分布しています。エノキ・エゾエノキは建築材・器具・薪炭材、あるいはケヤキの模擬材として利用されてきました。
高井大富神社のエノキの胸高幹囲は、2002年7月4日測定値3.39メートルで、推定樹高は約18メートルです。市内最大の太さで、しかも幹の途中から太い枝が3本鼎立していて独特な整った形をしています。
エノキは、枝が繁茂し遠くからもよく目立つので、街道の一里塚に植えられた木です。旅人の目印、日除け、雨宿りにと利用されました。かつてこの地には「千曲の渡し」もあり、古い街道もあったので一里塚の役目も果たしたのではないでしょうか。
近在では、飯山市西大滝に胸高幹囲3.63メートルの飯山市指定天然記念物のエノキ、野沢温泉村明石に4.15メートルの野沢温泉村指定天然記念物のエノキがあります。
永江諏訪神社巨樹
指定 | 市天然記念物/1982年11月1日 |
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所在地 | 中野市大字永江 |
所有者 | 永江諏訪神社氏子総代 |
永江諏訪神社の巨樹(4本)は杉の御神木で、1982年11月に当時の豊田村の天然記念物として指定されました。この巨杉のうち1本は樹高34.6メートル、周囲4.2メートルであり、他に樹高32.2メートル、周囲4.1メートルのもの2本と、樹高31.3メートル、周囲4.9メートルのもの1本があります。
盛隆寺のイチイ
指定 | 市天然記念物/2004年3月31日 |
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所在地 | 中野市大字間山 |
所有者 | 宗教法人 盛隆寺 |
イチイ科イチイ属イチイは、長野県全県に分布するといわれていますが、中野市以北で自生木として確認されているのは栄村切明にあるイチイ1本のみで、他は植栽されたものと考えられています。
イチイは家の周りに植えておくと防風、防火に役立つといわれ、神社、仏閣、民家などに多く植えられています。しかし、胸高幹囲(地上から1.3メートルの幹囲)が4メートルを超えるような大木になると、幹に空洞ができて枯死することが多くなります。
盛隆寺のイチイは、指定当時の胸高幹囲が4.01メートルであるにもかかわらず、樹勢がよく、衰えは見られませんでした。
近隣のイチイの大木としては、飯山市の「瀬木のイチイ」(飯山市指定天然記念物)は胸高幹囲3.11メートル、長野市の「新井のイチイ」(長野県指定天然記念物)は胸高幹囲6.5メートルで、「新井のイチイ」の推定樹齢は700年とされています。盛隆寺のイチイの推定樹齢は、少なくとも350年以上と考えられます。